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この章では星の質量(とりあえず「重さ」と考えてください)が遠く(地球から)からどうして分かるのかを考えながら、その背景にある万有引力について学びます。
月の公転周期と自転周期が一致するために、地球から月の裏側が見えませんが、月の公転周期と自転周期が一致する理由はあるのでしょうか。2006年5月26日に受講生にむりやり説明を求めました。その回答のいくつかを紹介します。回答に苦しんだ跡が伺えます。p>
1のようになっている理由が問われているので1は答えになりません。地球自転周期は月の公転周期とは一致していませんので2〜5は違いますね。23〜24は間違いではありませんが、説明不足です。この章では万有引力から月の公転周期と自転周期が一致する理由が引き出せることを示します。その答えを探すつもりで受講してください。
ケプラーの法則
左の図はプトレマイオス(2世紀、英語ではトレミー)による天動説を示します。地球付近を中心とした円(離心円)を動く点を中心とした周転円の上を惑星が動く、としています。周転円は主として外惑星の逆行を説明するために取り入れられました。この図では1つの惑星あたり1つの周転円ですがトレミーは数多くの周転円を動員しています。離心円と周転円とを取り入れることによって天動説は非常に精密になりトレミーによって完成されました。
周転円上の惑星の方向は地球に対する太陽の方向に一致していることに注意してください(金星だけが違うようですが)。また地球を除く全ての惑星の周転円の半径は太陽軌道の半径と同じでなければなりませんが、そのことをトレミーは見抜いていませんでした。この半径が同じであることと方向も同じであることを使うと後述の「チコの宇宙」になります。
コペルニクス(1473〜1543)の地動説では各惑星の軌道は円で構成されていました。そのため、離心円、周転円を動員したトレミーの天動説よりも精密ではありません。宗教上の理由もあってこの地動説が受け入れられるまで時間がかかりました。
左の切手はコペルニクス生誕500年を記念して1973年にドイツで発行されたものです。
チコ・ブラーエ(1546〜1601)は精密な天体観測で有名です。望遠鏡を発明したガリレイよりも前の人ですから望遠鏡によらず、肉眼による観測です。精密な測定により周転円の半径を太陽軌道の半径にを一致させました。チコの宇宙を左に示します。地球以外の惑星はすでに太陽の周りをまわっています。ここまでくると地動説は間近ですが、チコは地動説に反対していました。反対した理由は地球公転で見えるはずの年周視差(第1章参照)が彼の精密測定でも見えなかったからだとされます。恒星までの距離を現在知っている距離よりも小さいと思い込んでいたのでしょう。
チコ・ブラーエの膨大なデータを受け継いだケプラー(1571〜1630)は以下のようなケプラーの3つの法則にまとめました。
第1法則
各惑星の軌道は太陽を1つの焦点とする楕円である。
第2法則
太陽から惑星に引いた動径が描く面積の割合(面積速度)は惑星ごとに一定である。
第3法則
各惑星の公転長半径の3乗と公転周期の2乗の比は惑星によらず一定である。
第1法則の意味を考えてみましょう。図のように2つの点AとBからの距離の和 r1 + r2 を一定にするように点Pを動かすと楕円が得られます。2つの点が一致すれば円になります。半径は2通り定義されます。長いほうの半径を長半径、短いほうを短半径と呼びます。図では a, b で示されています。長半径と平均距離は等しくなります。ケプラーの第1法則はどちらかの焦点に太陽がいる、としています。
それまで円だけに限定して離心円、周転円などの複雑な組み合わせで説明してきた軌道が単一の楕円によって簡単、精密に説明できるようになりました。
第2法則では「面積速度一定」と意味不明の表現をしましたが、太陽に近いところでは速く、遠いところでは遅く動く、ということを定量的に表したものです。図で同じ時間では青く塗った面積が同じになるような速度の関係であるということです。動径に直角方向の速度が動径の長さ(距離)に反比例する、という方が分かりやすいかも知れません。
(予習課題2-1) 春分と秋分とでは太陽の周りの軌道の反対側に地球がいます。このことを使って地球は冬のほうが夏よりも太陽に近い位置にあるということができます。どうしてでしょうか。第2法則とカレンダーを使って(日数を数え、その日数も表示して)考えて見ましょう。これまでの回答では夏と冬との日照時間を比較した議論が多数みられました。日照の問題にすると北半球と南半球とで逆になりますが、地球公転とは関係がないことに注意してください。(提出期限は授業で説明する前日です。メールを発信するにはここをクリックします。)
締切りました。(回答例:小林 拓磨) 2009年では、春分の日が3/20、秋分の日が9/23である。 つまり、暦の上での夏は186日、冬は179日という事になる。 ここで、太陽に近くなるほど速度が速くなり、公転(ここでは半回転)に 必要な時間も減少する、というケプラーの第二法則を利用する。 先ほど述べたように、冬の方が公転軌道を半回転するのに必要な時間が 短いことが分かっている。これは冬の方が地球の公転速度が速いことを 表しており、このことから地球は冬の方が夏よりも太陽に近い位置にあることが わかった。
| 惑 星 | 半径(a) 地球=1 | 周期(T) 地球=1 | a3/T2 |
| 水 星 | 0.387 | 0.241 | |
| 金 星 | 0.723 | 0.615 | |
| 地 球 | 1.000 | 1.000 | 1.000 |
| 火 星 | 1.524 | 1.881 | |
| 木 星 | 5.203 | 11.86 | |
| 土 星 | 9.539 | 29.46 | |
| 天王星 | 19.13 | 84.01 | |
| 海王星 | 30.06 | 164.8 | |
| 冥王星 | 39.44 | 247.7 |
第3法則を確認するためにa3/T2の部分を地球以外に対して空白にしておきました。自分で計算してみましょう。1 と1.000 とで意味が違うことにも注意してください。
このような関係は複数の衛星を持つ惑星の衛星の間(地球では月、人工衛星の間)でも各惑星毎に成り立ちます。その場合、中心となる天体によってa3/T2の値が変わります。下の図は太陽系の惑星(赤)以外に地球の衛星(青)と木星の衛星(黒)の公転半径と公転周期を両対数グラフで表しています。「対数」の知識は要求しませんが、それぞれのグループ毎に別々の平行な直線に並んでいることに注意してください。このグラフで直線の勾配が2分の3であること(公転半径が100倍変化すると公転周期が1000倍変化する)も読みとれます。

この図に「低軌道衛星」「静止衛星」を入れておきました。人工衛星で最短周期は何分でしょうか。静止衛星の高度は何kmでしょうか。(万有引力や遠心力を使わずケプラーの第3法則を使って)計算できる人は計算しておいてください。
図の目盛りは「対数目盛り」になっています。静止衛星の軌道半径は7万kmではないので注意してください。1万と10万との中間点は5.5万ではなく約3.1万です。
ケプラーの法則は次に述べるニュートンの万有引力の法則の確立にも寄与し、地動説を見事に説明しています。これで地動説は決定的になりました。
万有引力
古典力学はニュートンによって確立されました。その内容は運動法則と万有引力の法則とに分けられます。この2つの法則を使うとケプラーの法則を導き出すことができます。逆に運動法則とケプラーの法則とから万有引力の法則を導くこともできます。これらの計算には運動法則の極座標表示や微分などの数学的準備が必要なのでこの授業の範囲を超えます(理科系向けの教養教育の水準)。
ニュートンの運動法則を使うと、ケプラーの法則に秘められている太陽から惑星に働く力は、太陽、惑星の質量に比例し、太陽惑星間距離の2乗に反比例するということになります。ニュートンはこの力を導くとともに、この天上の出来事を支配する法則が地上でも同様に成り立つことを見抜きました。すなわち質量を持つ全ての物の間で、それぞれの質量を m1, m2,その間の距離を r とすると、その間に

(予習課題2-2) 地球上の物体には重力が働いていますが、これは物体と地球との間の万有引力で説明できます。ところで、地球の内部に入っていくと引力の強さはどのように変化するのでしょうか。(提出期限は授業で説明する日の前日です。メールを発信するにはここをクリックします。)
締切りました。(解答例 百瀬 悠里絵) 地球の内部に物体が入ると、その物体より外側にある質点は物体を外側に引っ張り上げるように働きます。その結果合成引力が小さくなります。物体が地球の中心にある場合、全ての質点からの引力が打ち消しあって引力は働かない状態になります。
天体の質量
地上における重力が地上の物体と地球との間の万有引力によることから地球の質量が求められます。また万有引力と遠心力との釣り合いを使って、地球を回る衛星の公転周期と公転半径からも計算できます。
太陽の周りを回る惑星の公転周期と公転半径との測定から太陽の質量が求められます。惑星を回る衛星の公転周期と公転半径からは惑星の質量が求められます。
太陽系外の恒星系で公転周期と公転半径が地球から観測されれば質量が分かることになります。他の恒星系の惑星の公転に関する情報を地球から求めるのは難しいことですが両方とも恒星である連星系では星の質量(厳密には質量の和)が分かることになります。
(復習課題3) 太陽系の惑星の質量は知られていますが、水星と金星には衛星がありません。どうして質量を知ることができているのでしょうか。これまでの提出解答には「水星、金星を太陽の衛星と見ればよい。」という解答が多く届いていますが、これは正解ではありません。水星を太陽の衛星と見て得られる情報は太陽と水星の質量和です。この質量和と太陽質量との違いを軌道から測定することは不可能です。自分で考えずに文献等で調べてください。(提出期限は最終授業の前日です。メールを発信するにはここをクリックします。)
潮汐力
月と太陽とが同じ方向にあっても満潮・干潮が1日に1回でなく2回起こることを不思議に思っていたかも知れません。この満潮・干潮を引き起こすような力に「潮汐力」があります。潮汐力は強さが場所によって変わる力を大きさのある物体が受けるために起こります。
右の図で地球が「他天体s」から万有引力を受けて右側に引かれているとしましょう。さらにsは地球との距離を一定に保つような別の理由があるとしましょう(距離が一定であるように右側へ逃げるとすると、逃げる速さはどんどん速くなる必要があります)。sが地球に及ぼす万有引力が、近いところ(Bで代表)では強く、遠いところ(Cで代表)では弱くなります。質量を持つ物体は力を受けても力の方向に加速されにくさを持っていますので地球は図のように引き伸ばされます。満潮・干潮ばかりでなく、一般に大きさのある物体を引き伸ばすように現れる力を「潮汐力」と呼びます。
遠心力と万有引力とが釣り合って他天体との距離が一定であっても、万有引力だけが働いて他天体が地球に衝突することになる場合でも、地球に働く力が場所によって異なる限り地球の形を引き伸ばそうとする潮汐力が働きます。遠心力はsと地球との間の距離を一定にするためにだけ必要であり、潮汐力の発生の原因にはなっていないことに注意してください。遠心力を使って潮汐力を説明しているホームページが多数ありますが、遠心力は潮汐力の原因ではないので注意しましょう。
地球では海水の干満で潮汐を感じますが、地殻も1メートル位は歪められています(これは地上からは感じられません)。
(予習課題2-3) 地球に働く万有引力は月によるものよりも太陽によるものの方が圧倒的に大きいですが、潮汐力は月によるものの方が太陽によるものより強いのは何故でしょうか。(提出期限は授業で説明する前日です。メールを発信するにはここをクリックします。)
2009年度後期はこの課題の解答を提出する必要はありません。 潮汐力の大きさが距離の3乗に反比例して変化することの説明はここをクリックしてください。
ボイジャー1号探査機が木星の第1衛星イオに火山があることを見つけたとき世界中が驚きました(1979年3月)。イオの大きさと太陽系の年齢とからイオは中心まで冷え切っていると考えられていたからです。
イオは平均距離42万kmで木星の周りを回っている直径3600 kmの衛星です。巨大な潮汐力のために固体の衛星が100m程の歪みを受けています。時間的に形が変化するときの摩擦のために発熱して火山活動を起こしていると考えられます。
ボイジャー2号探査機も木星に接近して観測しました(1979年7月)。その間にも新たな火山が発生したり死火山になったりしています。
ハブル望遠鏡で撮影したイオの画像はここをクリックして見てください。木星の陰に入って太陽の光が届かないときの赤外線画像です。ボイジャーが見つけたものよりも数多くの火山が見られます。
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形が歪められるだけでなく引きちぎられた例が有名なシューメーカー・レヴィ彗星です。これはもともと木星に近い軌道を回る彗星でしたが、1992年7月木星に近づきすぎたために引きちぎられ、2年後(1994年7月)木星に衝突しました。
万有引力だけで形を保っている天体が他の天体に限界を越えて近づきすぎて、潮汐力が天体を保つ引力より強ければこのようなことが起こります。引きちぎられた後、惑星の周りを公転している例は珍しくありません。ここをクリックして見てください。
月の裏側はどうして見えないのか
(予習課題2-4) 月の裏側はどうして見えないのでしょうか。月の公転周期と自転周期が一致する理由を考えましょう。偶然ではありません。この質問に対するヒントはこの章で既に与えられているのです。偶然かどうかを知るために太陽系の他の惑星の衛星の公転周期と自転周期を調べてみることをお勧めします。(提出期限は授業で説明する前日です。2つの課題のメールは2つのメールに分けて提出してください。1つにまとめると集計できません。メールを発信するにはここをクリックします。)
(復習課題4) 月の裏側は地球からは見えませんが、地球から月の表面の半分以上(59%も)見えます。その理由の1つに月が地球中心に常に同じ方向を向けているのではなく、少しだけ横方向を向くようにふらついている(秤動と呼ぶ)ことがあげられます。月が地球のまわりを楕円軌道を描いて公転していること、ケプラーの第2法則を使ってこのふらつきの原因を説明して見てください。(提出期限は最終授業の前日です。メールを発信するにはここをクリックします。)
脱出速度とブラックホール
地上の余り高さの変化がない範囲では地球からの重力は大体一様です。空気の抵抗がないとして地表から物を放出したとき、届く高さは初速度の2乗に比例します。初速度が大きくなって高さによる重力の強さの変化を無視できないくらいになると2乗に比例する分よりももっと高く届きます。初速度が 11.2 km/s を越えると地球には戻ってこなくなります。その最小速度を「脱出速度」と呼びます。天体表面の脱出速度は天体の質量と半径が分かれば計算できます。脱出速度は天体質量の平方根に比例し、天体半径の平方根に反比例します。
(高校の「物理学2」を勉強した受講者へ)質量mの物体が質量Mの天体から距離r離れているときの万有引力の位置エネルギーは U = -GmM/r です。運動エネルギーが T = mv2/2 であることと、エネルギー保存 E = T + U = const. を使って半径 a の天体表面での脱出速度は (2GM/a)1/2 であることを確認しておきましょう。
| 天体 | 質量 太陽=1 | 半径 太陽=1 | 脱出速度 km/s |
| 月 | 0.000000037 | 0.0025 | 2.4 |
| 地球 | 0.00000300 | 0.00917 | 11.2 |
| 木星 | 0.000955 | 0.103 | 59.5 |
| 太陽 | 1.000 | 1.000 | 617.7 |
| 白色矮星 | 1.0 | 0.01 | 6200.0 |
| 中性子星 | 1.4 | 0.000014 | 195000.0 |
| ブラックホール | 299792.5 |
ここで白色矮星、中性子星は星の核反応が停止して重力で収縮した非常に高密度の星です。星の進化については改めて第4章で説明します。表の半径や質量は代表的な値を載せました。中性子星の半径に与えた値はこれで10 kmです。中性子星の場合には脱出速度が光速にかなり近づいています。半径がこのままで質量が約2倍大きいと脱出速度は光速に達します。その場合には光でさえもその表面から脱出できないことになります。そのような天体を「ブラックホール」と呼ぶことは分かりますね。ブラックホールの大きさは千差万別ですので、誤解を避けるために表に入れませんでした。半径は質量に比例し、太陽質量に対して3kmです。どのようにしてブラックホールが作られるかについては第3章、第4章で説明します。
脱出速度 (2GM/a)1/2 が光速 c になる天体半径は 2GM/c2 であることは簡単に確認できますね。厳密には一般相対論(第3章)を使わなければなりませんが、この結果は古典力学の結果が見かけ上一致します。古典力学の結果はブラックホール表面からある程度は出られますが無限遠までは離れられないことを意味しますが、一般相対論ではブラックホールから一歩も出られませんので同じことを意味しているのではありません。
第2章のQ&A
A:北から見ればこうなります。人間の選択ですから科学的な理由はいらないと思います。北半球で科学が発展したからでしょうか。質問が「全ての惑星が同じ方向であるのはなぜか」ということだとすると、別の回答が必要です。太陽や惑星の自転方向も含めて同じ回転方向である理由は、太陽と惑星との形成が同じ時期に1つの星間ガスから作られたためです。太陽系形成後に参加する惑星は逆向きにもなれます。
A:地球が太陽の周りを公転する周期が地球自転周期の整数倍でないためにカレンダーでは閏年を設けて2月末に調整しています。春分の日はその調整の日のすぐ後であるためにしわ寄せを受けているのでしょう。
A:星を形成する物質が質量中心に向かって直線で落下するならば自転しない星ができます。少しでも横向き成分があれば自転します。横向き成分が物質全体で完全に打ち消せば自転しないことになりますが、そのような確率はゼロでしょう。
A:そうです。しかし「焦点が中心でない円軌道」の表現に誤りがあります。円軌道の中心でない所に太陽がいることはありません。さて楕円軌道を回ると太陽からの距離が変化しますので太陽からの万有引力も軌道の位置によって変化します。
A:与えます。楕円軌道を回ると地球との距離が変化しますので地球に与える潮汐力も軌道上の月の位置によって変化します。この変化は上の質問の万有引力よりも目立ちます。万有引力は距離の2乗に反比例するのに対して潮汐力は距離の3乗に反比例するからです。
A:太陽が楕円の中心Oにいると惑星が図の上と下に来たとき(年2回)太陽に近く、左右に来たとき(年2回)太陽から遠くなります。楕円の焦点の1つ(Aとしましょう)に太陽があると、惑星が右に来たときに近く、左に来たときに遠くなります。このほうが自然ですね。
A:単に幾何学的な位置と考えてください。何もありません。
A:ケプラーの第2法則にはどんな天体でも従うので、太陽系に属するかどうかをこの法則から判断することはできません。むしろケプラーの第1法則の方が判断に有効です。軌道が楕円でないものは太陽系の外に飛び出します。その軌道が放物線か双曲線になり、無限の彼方まで軌道が伸びているからです。右の図で近日点Nと太陽Sを結ぶ線に垂直で太陽を通る線が軌道と交わる点をHとします。SH間距離(半直弦)とSN間距離(近日点距離)とを定義しましょう。太陽のそばを通った彗星の軌道の一部を観測して半直弦と近日点距離を求めることによって、半直弦が近日点距離の2倍以上あるかどうかで太陽系外天体であるかどうかが判断できます。
A:体積が一定として物質間の距離を最小にすると球形になります。言い換えると球形のときに星を構成する物質の間の引力の位置エネルギーが最小になります。
A:母星の半径の約2倍以下の公転軌道では、重力で集まる力よりも潮汐力が強いので、重力だけで結びついているものは潮汐力によって引き裂かれます。逆にその範囲のリングは集まって1つの天体になることができません。この範囲の限界を「ロシュ限界(またはロッシェ限界)」と呼びます。関心のある人はインターネットで検索してみましょう。
A:月の公転周期よりも地球の自転周期が短いうちは地球の自転が潮汐力と摩擦力のために遅くなります。地球の自転を遅くした力の反作用で月は地球から離れていきます。月からの潮汐力は距離が大きくなると急激に小さくなり、太陽による潮汐力よりも小さくなります。すでに月に与える万有引力は地球よりも太陽からのものが大きかった訳ですから月は、地球の周りの公転をせずに地球とともに太陽の周りを公転することになります。太陽が存在せず、地球と月しかない場合を考えると地球の自転周期、月の自転周期、地球と月との間の公転周期が一致するとそれ以上地球と月との間の距離や3つの周期が変化しなくなります。この状態を達成しているのが冥王星とその衛星カロンの系です。
A:太陽の質量が変わればこの距離は変化します。質量の変化については文献を調べなければ定量的な答えはできませんが、全く変わらないという訳にはいかないと思います。太陽からは物質が太陽風として噴出しているので質量が減ることが考えられます。質量が増える理由も考えられると思います。数十億年後、太陽が巨星に進化したときに、巨星表面での脱出速度が小さいために、太陽の物質のかなりの部分が放出されます。このときには距離が大幅に延びます。この時の太陽の大きさは現在の地球軌道を飲込む程度までになりますが、地球が遠ざかるので飲込むかどうかは微妙です。
A:簡単のため、2つしか星がなく、天体の大きさが非常に小さいとしましょう。2つの星が静止している状態から引力を及ぼしあうとすると2つの星は衝突します。この例のように2つの星を結ぶ方向に垂直に動く速さがゼロであれば衝突します。少しでも垂直方向の速度があればケプラーの第2法則の「面積速度」がゼロでないことになります。天体が衝突することは面積速度がゼロになることですから、衝突はできません。第2法則の別の理解のしかたとして「垂直方向の速度が距離に反比例する」とした場合、速度が無限大にならなければ距離はゼロになれません(衝突できません)。また別の説明をすると、万有引力の方向は天体を結ぶ直線上にしかありませんから垂直方向の運動をゼロにできないため、とも言えます。
A:天体の質量が小さければこの条件を満たすようになるでしょう。具体的に存在するかどうかの質問でしたので具体例を挙げましょう。日本の小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」に2度着陸しましたね。脱出速度が小さいので着陸が困難でした。このイトカワなら質問の条件を満たしていると思います。