山形大学理学部「偏極ターゲット実験室」の概要
原子核や素粒子の実験で、原子核のスピンを特定の方向に揃えた特別なターゲット(偏極ターゲット)に粒子加速器からのビームを入射し、反応のスピン依存性を調べることがあります。この「偏極ターゲット」を用いることによって、通常の実験では得られない原子核や素粒子の微細構造に関する新たな情報を手にすることができます。「偏極ターゲット」の製作には高度な技術が必要であり、世界的にもこれを利用できる研究機関は限られています。
この度オープンした山形大学理学部の「偏極ターゲット実験室」は、高性能の偏極ターゲットの開発を行うことによって、最先端の素粒子、原子核研究を行うことを目的に建設されました。
「偏極ターゲット」の開発には、高磁場、極低温、真空、高周波、マイクロ波、電子スピン共鳴、核磁気共鳴などさまざまな技術が必要になります。この実験室では、これらすべての技術を駆使して、高性能偏極ターゲットの開発をおこなうことができます。
主要設備
高均一度電磁石
最大磁場 2.6テスラ、
均一度 100 ppm@領域直径50mm内
電磁石冷却用純水循環装置及びクーリングタワー
(クーリングタワーはH15年度学長裁量経費で整備)
電磁石用電源 600A/25V (配電設備はH15年度学長裁量経費で整備)
希釈冷凍機 最低温度 200mK, 冷凍能力 1mW@300mK、排気量1000m3/hのポンプ系を含む
マイクロ波システム 70GHz/200mW, 偏極励起用
核磁気共鳴装置 CW-NMR, 周波数10〜200MHz、偏極度測定用
電子スピン共鳴装置 日本電子製(実験準備室)、
附帯設備: 天井移動式クレーン 2基、 吊り上げ荷重1トン
(*上記のほとんどの装置は名古屋大学から移管)
天井移動式クレーン 2基
吊り上げ荷重;1トン
クォーク研実験準備室
主要設備
電子スピン共鳴装置;日本電子JES-RE1X
GM冷凍機;アイシン精機 GR-101
冷凍能力:12W @ 77K
最低到達温度:33K