next up previous
次へ: まとめ 上へ: Front Barrelの宇宙線測定 〜発光量の位置依存性〜 戻る: Logic

解析

解析の手順
PMT Gain 測定法

Front Barrelで測定される光電子数を見積もるために、まずFront Barrelで用い る光電子増倍管のGainカーブを測定した。緑色のLEDを使って1photo-electron(p.e.)のピークが見えるように調節した光を、光電子増倍管に入れ、得られたヒストグラムからfitting関数を用いて1p.e.のピーク間隔を 得る。

配置図を次のようにした。

図 3: PMT calibration配置図
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/led_setup.eps,angle=0,width=15.0cm,height=8.0cm}\end{center}\end{figure}

光電子増倍管に印加する電圧を適宜変えていき、印加電圧に対する1p.e.のピー ク間隔を求める。あらかじめADCのcalibrationを行なっておいて、入力電荷に対す るADC channelの関係を得ておけば、1p.e.のピーク間隔に対する電荷量が見積も れる。つまり光子1個が光電子増倍管に入ったときに増幅されて出力される電荷 量が見積もることができる。その増幅後の電荷量を電子の電荷量 \(1.6\times10^{-19}(C)\)で割ることによって、光電子増倍管のGainを見積もる ことができる。

平均光電子数Nが小さい時はポアソン分布のN= 1.2.3...の各ピークがガウス分 布になる。それぞれのピークの標準偏差を $\sqrt{N}\sigma$($\sigma$はN=1の ピークの標準偏差)として、次の関数へfittingした。


$\displaystyle R(x)=A\sum_{N=1}^{N_{max}}\frac{\exp^{-\bar{N}}\bar{N}^N}{N!}
\frac{1}{\sqrt{2\pi N}\sigma}
\exp\left\{-\frac{(x-pN-q)^2}{2N\sigma^2}\right\}$     (1)

\( x \) : ADC channel
A(p1) : Normalization Factor
$\bar{N}$(p2) : 平均光電子数
$\sigma$(p3) : 標準偏差
\(p\) (p4) : 各ピーク間隔
\(q\) (p5) : ペデスタルピークのchannel

図 4: fittingの一例。平均獲得光電子数が1.645個(p2)で、1p.e.のピーク間隔は 4.427ch(p4)となる。
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/gain0957_2300v.eps,angle=0,width=8.0cm,height=7.0cm}\end{center}\end{figure}

A,$\bar{N}$,$\sigma$,\(p,q\)をパラメーターp1,p2,p3,p4,p5とし \(N_{max}=10\)でfittingした結果が図4である。

図 5: zk0957とzk0958のGainカーブ
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/gain0957.eps,angle=...
...ure=./pic/gain0958.eps,angle=0,width=8.4cm,height=7.8cm}\end{center}\end{figure}

このようにして測定されたPMTのGainを図5に示す。

宇宙線Trigger

図 6: U1〜U5、D1〜D5のTDCヒストグラム
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/tdc_u1d5.eps,angle=0,width=8.4cm,height=14cm}\end{center}\end{figure}

図 7: fill前のADC1(上32層)とADC2(下27層)のヒストグラム
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/adc1.eps,angle=0,wi...
...{figure=./pic/adc2.eps,angle=0,width=8.4cm,height=7.8cm}\end{center}\end{figure}

図 8: fill&fit後のADC1とADC2のヒストグラム
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/adc1_fit.eps,angle=...
...ure=./pic/adc2_fit.eps,angle=0,width=8.4cm,height=7.8cm}\end{center}\end{figure}

TDCヒストグラムからTriggerが光ったときの範囲を指定し、U1D1〜U5D5のそれぞれの ANDをとり、ADCにカットをかけることにより、宇宙線垂直入射のADCヒストグラム が得られる。

U1〜U5、D1〜D5を用いて測定された宇宙線のTDCヒストグラ ムを図6、fill前のADCヒストグラムを図7 、U1×D1〜U5×D5へ垂直入射した宇宙線のADCヒストグラ ムを図8に示す。

位置依存性

図 9: Module全体の獲得光電子数の位置依存性
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/Np.e_all.eps,angle=0,width=14.0cm,height=13.0cm}\end{center}\end{figure}

図 10: 1MeV当たりの獲得光電子数の位置依存性
\begin{figure}\begin{center}
\leavevmode\psfig{figure=./pic/Np.e_MeV.eps,angle=0,width=14.0cm,height=13.0cm}\end{center}\end{figure}

ADCヒストグラムのピークの重心とペデスタルの重心の間のchannel数か ら得られた電荷量を見積もることができ、印加した電圧でのGainと1p.e.の電荷 量 \(1.6\times10^{-19}(C)\)で割ることによって、獲得光電子数が見積もれ る。

このようにして得られた獲得光電子数の位置依存性を図 9(Module全体)と図10(1MeV当たり) に示す。


next up previous
次へ: まとめ 上へ: Front Barrelの宇宙線測定 〜発光量の位置依存性〜 戻る: Logic
SATO Hiroyuki 平成15年5月6日